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天野 尚樹

AMANO Naoki

コース:グローバル・スタディーズコース
メールアドレス:amano@
ホームページ:
オフィスアワー:火曜日12:10-12:50
専門領域:ロシア極東近現代史、サハリン島地域研究
大学院担当:

※メールアドレスの@以降は「human.kj.yamagata-u.ac.jp」になります。

インタビュー

 ― : 先生の専門領域を教えてください
天 野: ロシア、とくに、ロシア極東と呼ばれる日本に近い地域の歴史を勉強しています。戦争や革命、難民、そんな生々しく、ときに絶望的になるような出来事を調べています。
 最近は、ロシア極東のなかでも、北海道のすぐ北にあるサハリン島の歴史の研究が中心です。この島は、1905年から1945年まで南半分が日本領でした。樺太と呼ばれます。山形からも多くのひとが移り住んでいました。
 サハリン島は、20世紀のあいだだけで、島の上で国境線が3回も引かれなおしています。全島がロシア領だった時代も、事実上全島が日本領だった時代も、ロシアと日本で半分に分けていた時代もあります。ですからこの頃は、日本史に近いこともやっています。

 ― : 具体的にどのような研究なのでしょうか?
天 野: 国境線を引く、あるいは引きなおす方法は2つしかありません。外交交渉か戦争です。20世紀サハリン島での国境線の引きなおしは、すべて戦争が原因です。
 戦争をしようと決めるのも、国境線を引きなおそうと決めるのも、中央にある国の政府です。しかし、実際に国境線が引かれ、戦火に巻き込まれ、住んでいる場所の国の所属が変わり、故郷を奪われるのは国境地域に実際に住んでいるひとたちです。しかも、政府の決定は自分たちの知らないところで勝手に決められます。
 国境は、国のいちばん端であり、同時に、外国との最前線でもあります。最前線であるがゆえに、戦争になれば敵国と直接衝突し、端であるがゆえに、中央の政府から見捨てられることもあります。政治は、国の中央がやります。でも、歴史をつくるのは、そんな偉いひとたちだけではありません。
 サハリン島という具体的な地域で、実際の戦場や国境線が引きなおされる歴史の現場に立って、そこに暮らしていた人びとがたどらざるをえなかった運命をすくいあげて描き出す。それが、ぼくの仕事です。

 ― : この研究に興味を持ったきっかけはなんですか?
天 野: ですから、ワクワクするような面白さはあまりありません(笑)。むしろ、あまりに絶望的な状況に、目をそむけたくなり、史料を投げ出したくなることの方が多いです。
 でも、その現場に出会い、事実を知った瞬間、それは、どこか遠い国の昔の出来事ではなくなります。それは自分の問題になります。出会ってしまったからには、逃げるわけにはいきません。ぼくがすくいあげなければ、そこに生きた、あるいは死んでいった人たちは、記憶の彼方に埋もれてしまいます。彼らをもう一度、ぼくが歴史のなかで殺してしまうことになる。その責任感が研究の原動力です。
 サハリン島史に手を染めたきっかけは、かなり成り行きです。でも、具体的な地域にこだわっているおかげで、ロシア人の友人がたくさんできました。彼らはぼくの先生でもあり、ライバルでもあり、一緒に歴史をつくっていく仲間です。彼らも、ぼくの研究を待っていてくれるし、仲間として論文を読んでくれる。外国研究は、その国のひとにはかなわないと思うかもしれません。ぼくも、昔はそう思っていました。でもいまは、そうじゃないことを実感しています。彼らにしかわからないこともあるし、ぼくにしかみえないものもある。そうやって一緒に歴史をつくっているんだ、という実感をもてていることは、研究者としてとても幸せなことです。

 ― : 最後に高校生に一言お願いします。
天 野: 歴史をつくる、という言い方を何度かしてきました。歴史の勉強は、すでにできあがった事柄を覚えることではありません。勉強すればするほど、わからないことが増えていきます。日々わからないことだらけです。それはどういうことなのか、なぜそんなことが起こったのか。そんな問いをつきつけ、少しずつ謎を解き明かしていくなかで、歴史はたえず生まれ変わり、つくりなおされていきます。
 ただ、ゼロから問いは生まれません。基礎的な年号や事柄を覚えたうえに、問いが生まれます。高校の世界史や日本史は、覚えることが多くて大変かもしれません。覚えきれないというひとも多いでしょう。ぼくも、高1の最初の中間試験で、世界史が17点。もうやらない、と心に誓ったはずでした(笑)。ですが、浪人して、ふと世界史をやってみようと思い、たくさんの事柄を覚えざるをえなくなりました。そのときの知識が、いま問いをたて、考えることの基礎になっています。だから、暗記だって大事です。ただ、それだけではない、ということも忘れないでください。絶対的に正しい答えなんて歴史にはありません。
 歴史をつくっていくうえで、いちばん大切なのは勇気です。どんな絶望的な出来事にも、悲惨な状況からも、目をそむけず、逃げずに向き合うこと。絶望からこそ、平和は生まれます。勇気をもって、世界に、歴史に、目を向けてみてください。

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