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明治日本の文明言説とその変容

許 時嘉

日本経済評論社:2014年11月

〔内容紹介〕

 本書は東アジアの〈文明〉志向に内在する前近代的な様相を浮き彫りにすることで、近代日本の植民地統治の特性について再考を試みた一冊である。東アジアの中華思想支配、「文」を中心とする伝統的な文明概念と近代西洋の文明理解との融合と齟齬は、明治日本の近代国民国家の成立と海外膨張、そしてはじめての植民地台湾経営の大きな特徴をなしていたと考えられる。明治期の各場面において議論、利用、再現されたそれらの文明言説を考察することで、前近代と近代のつなぎ目、そしてイデオロギーと実体統治の間に生じた多彩な変化と多様な可能性を提示してみたい、というのが本書の意図である。タイトルに副題を入れるとすれば、「植民地台湾の統治実態との連動」というフレーズがふさわしいだろう。
 本書は2010年11月、名古屋大学大学院国際言語文化研究科に提出した博士論文『明治日本の文明言説と植民地統治――台湾統治をめぐって』に大幅に加筆修正を加えたものである。刊行にあたって、平成26年度科学研究費補助金(研究成果公開促進費「学術図書」)、および富士ゼロックス小林節太郎記念基金出版助成金の交付を受けて出版された。

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