ホーム > 研究所 > ナスカ研究所:所長あいさつ、沿革、概要
新しい地上絵の発見がたびたび報道されてきたこともあり、ナスカ地上絵研究は現在ではすっかり山形大学の看板のようになりました。それは元々は、2004年、坂井正人教授(文化人類学)を中心に、阿子島功名誉教授(自然地理学)、渡邊洋一名誉教授(認知心理学)、本多薫教授(情報科学)の4人による学際的な共同研究として出発したものでした。その後も地道な研究を積み重ねてきたことが実を結び、本研究は世界的な研究へと発展しました。それはペルー共和国文化省によっても高く評価され、人文社会科学部のナスカ研究グループは現在、現地での立ち入り調査を認められている世界で唯一の研究チームとなっています。
山形大学ナスカ研究所は、こうした現地での研究推進のための拠点として、2012年10月30日に開所しました。以後、山形大学の研究者が常駐して研究や現地との連絡調整に当たるとともに、時に派遣学生をも交えた調査研究の場として運用されています。現在は、研究や社会連携に加えて、さらに学部・大学院を通じての教育の場としての機能を高めていけるよう準備を進めています。
本ホームページは、現地での調査研究の様子や多彩な研究成果について、日本だけでなく、世界に向けて発信するために開設しました。どうか皆様のご支援をよろしくお願いいたします。
世界遺産ナスカの地上絵(南米ペルー共和国)に関する研究は、山形大学が中心になって、日本およびペルーの研究者が実施している国際的な共同研究です。人類学、考古学、地理学、心理学、情報科学、保存科学、動物学、年代学などの専門家が参加して、学際的な視点から、ナスカの地上絵の実態解明を目指しています。またペルー政府と連携して、世界遺産ナスカの地上絵の保護活動に貢献しています。
ナスカ台地とその周辺部において、地上絵の分布状況を把握することから、この研究は始まりました。ナスカ台地は東西約20km、南北約15kmにおよぶ広大な範囲に広がっているので、そこに分布している地上絵の全体像を正確に把握した先行研究はありませんでした。私たちは人工衛星から撮影された高精度な画像を積極的に活用するとともに、地上における地道な調査を実施することで、どのような地上絵がどこにいくつ分布し、そこでどのような人間活動があったのかについて研究してきました。
人工衛星からナスカ台地を撮影した画像を精査したところ、先行研究 では知られていなかった、新しい地上絵(全長約60m)を発見することができました。この地上絵には後脚があることから、動物が描かれたと推定できます。一方、ナスカ台地における地上調査によって、人間の頭部の地上絵(約4m×3m)が発見されました。
左(2006年公表)
右(2011年公表)
世界遺産ナスカの地上絵が分布するナスカ台地で、山形大学調査団は現地調査を実施しています。これらの地上絵を調査しているのは、現在、世界で唯一山形大学だけです。
地上絵の近くには、当時の人々が残した膨大な土器や石器が分布しています。最新の学際的な研究成果にもとづいて、山形大学ナスカ研究所では、これらの遺物の特徴や分布状況を分析します。
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