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甦る『ゴンドラの唄』 ─ 「いのち短し、恋せよ、少女」の誕生と変容

相沢直樹

新曜社:2012年11月

〔内容紹介〕

 「♪いのち短し,恋せよ,少女(をとめ)」と歌い出す『ゴンドラの唄』(吉井勇詩,中山晋平曲)は,元々大正時代の新劇の劇中歌として生まれた。その詩は森鴎外訳の『即興詩人』の中の俚謡をもとにしたとされるが,この歌の誕生や出自に関しては,実はきわめて複雑な背景がある。本書は『ゴンドラの唄』をめぐって複雑に絡み合った幾筋もの糸を丹念に解きほぐし,歌の背後にある《カルペ・ディエム》(いまを生きよ)の詩想の系譜を浮き彫りにして行く。
 また,黒澤明の映画『生きる』の主題歌として用いられることによって,『ゴンドラの唄』の詩句の意味が変容したことを明らかにするとともに,現代文化の中で(それも意外にもサブカルチャーにおいて)聞こえる『ゴンドラの唄』のこだまに耳をすまし,この歌の受容の歴史を,豊富な例によって生き生きと描き出す。

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