ホーム > 研究所 > やまがた地域社会研究所:安達峰一郎研究資料室 > 一次史料について
ここでは、膨大に残されている史料のうち主なものについて紹介します。
安達はかなり筆まめであったようで、日本人や外国人との多くの書簡が残されています。鏡子夫人は、1958年に膨大な資料や書簡を伴って帰国した後、そうした資料等の保管も目的として安達峰一郎記念館(現、公益財団法人安達峰一郎記念財団)を設立します。その後、財団で整理が進められ1998年に国立国会図書館に寄贈されました。ここでは約7000点の資料や書簡が保存されています。書簡としては安達が受け取ったものと安達が送ったものの両方が整理されています。
これらの資料・書簡のうち、およそ700点については、1961年に設立された山辺町安達峰一郎博士顕彰会による解読作業が行われています。2011年にはそのうちの141点の文書が収録された『国際法にもとづく平和と正義を求めた安達峰一郎―書簡を中心として』が出版されています。本研究資料室は現在、その改訂作業をお手伝いしています。
ここでは安達が所蔵していた和洋図書272冊が保存されています。また、安達発出および安達宛の公電などの文書といった、外交官としての安達の足跡をたどるための重要な資料が保管されています。それらは、『日本外交文書』やアジア歴史資料センター(https://www.jacar.go.jp/)の検索エンジンで閲覧することができます。
財団には寄贈した資料の他にも、遺品や写真、駐仏当時の関係資料などまだまだ膨大な資料が残されています。それら史料の一覧は財団のホームページ(http://m-adachi.or.jp/material01.html)に掲載されています。本研究資料室は現在、駐仏当時大使館関係ファイルの翻訳作業を行っています。
2012年11月~2017年3月までに実施された山形大学研究プロジェクトでは、参加された先生方のリサーチにより、海外でも多くの関係資料が残されていることが明らかになりました。確かに、安達は外国の国際法学者や外交官、政治家とも多くの交流があり、安達が送った書簡が残されていることも想像に難くありません。例えば、国際連盟文書館、国際司法裁判所図書室、ベルギー外交史料館、フランス外交史料館、オランダ国立公文書館、スウェーデン国立公文書館、米国の議会図書館やハーバード大学やジョージタウン大学などの図書館に関係資料が残されていることがわかっています。
その他にも、安達が学生時代に翻訳・筆記した『法律講義案集』などが慶應義塾大学図書館に保存されていたり、山形県立図書館や福島県歴史資料館など郷土にも多くの資料が残されています。本研究資料室の目的の一つは、そうした散逸した資料を可能な限り参照可能なかたちで整理・保存していくことでもあります。
(参照:柳原正治・篠原初枝編『安達峰一郎―日本の外交官から世界の裁判官へ』(東京大学出版会、2017年)vi-xi頁。)
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