「法律・政治研究会」を開催
2018年6月15日
今年度第1回の法律・政治研究会が開催されました。今回は,星野修教授(専門:西洋政治思想史)によって「《神学的》政治的概念と《政治的》政治的概念―C.シュミットの政治的概念に関する二つのテーゼについて―」と題する報告が行われました。カール・シュミットは,法学・政治学の根源的研究を行ううえで避けて通ることのできない思想家です。星野教授は,その長年の研究蓄積に基づいてシュミット思想の基本的特徴を分かりやすく説明したうえで,シュミットによる「世俗化テーゼ」(キリスト教神学が政治的概念を色濃く形作っている)と「ポレーミク(抗争的)テーゼ」(政治とはつまるところ具体的な敵を想定し,そうした敵との抗争から形作られるものである)が,彼の人生に規定された挑発的・喚起的スタイルに依存するものであり,実のところ論証に失敗していることを鮮やかに提示されました。
その後,活発な質疑応答が行われ,近年なぜシュミット研究が盛んになっているのか,そしてその危うさ・留意すべき点など,本報告は多くの示唆をもたらしていることが確認されました。法学・政治学研究において思想研究が大変重要であることを改めて認識できる有意義な研究会になりました。