人文社会科学部総合法律コース卒業生が 令和6年司法試験に合格!
2024年12月10日
山形大学人文社会科学部寄稿文
岩崎高紀
初めまして。岩崎高紀と言います。私は、山形大学人文社会科学部を2023年3月に卒業した後に、同年4月に東北大学法科大学院に入学し、在学中受験制度を利用して、2024年7月に実施された令和6年度司法試験を受験しました。そして、同年11月に無事に合格を頂くことができました。
この度は、司法試験合格を受けて、現在学生や山形大学を志望する受験生の皆さんに、司法試験についてお話する貴重な機会を得ましたので、僭越ながら、寄稿させて頂きたいと思います。今現在まさに進路について悩んでいる方にとどまらず、全く司法試験なんて考えたこともない!という人まで、今後の参考程度にご覧頂ければ幸いです。
法科大学院は、主に法曹三者(裁判官、検察官、弁護士)を志す人が進学し、2年間ないし3年間の学修を通じて、法曹になるための学識や能力を育成することをその目的として設置された専門職大学院です。現在の制度では、原則として法科大学院の修了が司法試験の受験資格となります。
法科大学院は、司法試験科目である七法(憲法、行政法、民法、商法、民事訴訟法、刑法、刑事訴訟法)を中心に、実務的な知識を養うためのカリキュラムが組まれています。開講される授業の中には、研究者の先生方だけでなく、現役の裁判官、検察官、弁護士等の実務家の先生方から直接指導を受けることができるものもあります。
しかし、それに応じて、授業の内容は、非常に高度であるため、授業に着いていくために日々の予習復習は欠かせません。また、司法試験に特化した試験対策は授業以外で自主的に行わなければならず、それらのことを考えれば、法科大学院生の生活は、口が滑っても、楽な生活とは言えません。(脅しているような文章になってしまってますが、脅すつもりは毛頭無く、本当に大変な日々でした)。
ただ、法学における勉強というのは意外と報われるもので、学習を続け、理解をさらに深いものとしていくことで、突然、今までいまいち理解できなかった判例や学説を読めるようになることもあります。私も実際に、先生や同級生に対して質問を繰り返すうちに、幾度となくそういう経験をしたことがあります。そのときは、自身の成長を強く感じますし、法律の面白さに改めて気づく瞬間にもなります。
法曹を目指して法科大学院に進学する以上は、将来的に、司法試験という大きな壁を越えなければなりません。令和6年度の合格率は、42.13%(1592人/3779人)で、数字から見てもわかるように誰でも簡単に合格できる試験ではありません。
私も、入学当初は、司法試験という壁は非常に高く感じました(というよりかは、合格までの道のりが想像できなかったというのが正しいかもしれません)。
しかし、そのような幻想を見事に打ち砕いてくれたのは、法科大学院の同級生たちの存在です。法科大学院には、学生が自主的にゼミナールを組み、ともに勉強に取り組む「自主ゼミ」という文化があります。自主ゼミで毎週司法試験の過去問を検討していくうちに、見えない恐怖心が薄れ、今の自分の客観的なレベルと司法試験に合格するまでに不足していること、やるべきことが明確化し、暗中模索の状態から抜け出すことができました。
法学に限らず、勉強方法はまさに十人十色で、人に向いている勉強法が必ずしも自分に向いているとは限りません。参考書に関しても、司法試験受験生の中で重宝されているものが、意外と自分には合わないということも全く珍しくないです。その一方で、逆に、人の勉強方法からヒントを得て、自分にとって効果的な勉強方法が確立できることも十分にあり得ることだと思います。
重要なのは、1人で悩みを放置せずに、周囲を頼ることです。もしかしたら、「頼る」と考えなくとも、結局、最後には同級生全員がライバルであるので、お互いに「利用してやる」くらいの気概があってもいいかもしれませんね。
話が長くなり恐縮ですが、最後に、山形大学の卒業生として、山形大学の学習環境について、アピールして終わろうと思います。もう暫しお付き合いください。
山形大学人文社会科学部から法科大学院に進学する学生は、残念ながら、例年そう多くはありません。その点で言えば、大学院受験当時は、公務員志望の同級生と比較して、時折、孤独感に苛まれたことも否定はできません。しかし、山形大学には、法科大学院進学を目指す大学生にとって、それを上回る利点があると思います。
1つ具体例を挙げるとすれば、総合法律コース全体からして、都会の大規模法学部と比較して、少人数教育に特化していることが挙げられると思います。学生と先生方の距離が非常に近く、院試に向けた学習面での相談がしやすく、またその指導も受けやすいです。山形大学の先生方は、当然各分野の専門家である一方で、学生に対して懇切丁寧に、親身になって指導して下さる方が多い印象です。司法試験を目指すにあたって、司法試験予備校を利用することも有効な選択肢ではあると思いますが、まずは、身近な専門家を頼ってみるのも1つの選択肢だと思います。是非、後輩となる皆さんには、山形大学の恵まれた環境を十分に活かして欲しいです。
改めまして、この度、このような貴重な機会を頂きましてありがとうございました。少しでも、司法試験に挑戦する後輩たちの手助けになれば、幸いです。
最後になりますが、大学3年生の秋、法科大学院に進学するか悩んでいるときに親身になって話を聞いて頂き、大学院入試に際して懇切丁寧な指導をして頂き、そして今回の司法試験合格を非常に喜んで下さった山形大学の先生方には、感謝の念に堪えません。この場を借りて、心より御礼申し上げます。ありがとうございました。