豪農屋敷群がある中山町の歴史調査と研究発表を実施しました。
2018年5月1日
2018年3月11日(日)に山形県東村山郡中山町大字岡の岡地区文化交流センターで、山形大学人文社会科学部日本経済史ゼミナール(指導 岩田浩太郎教授)の研究発表会が開催されました。
岡地区にある山形県指定有形文化財・柏倉九左衛門家での同家文書の調査成果に関するゼミの研究発表会は2007年度から毎年公開で実施していますが、2017年度は同家がある岡地区に関する岡村文書の調査成果について発表しました。ゼミ研究発表会は柏倉九左衛門家ひなまつり2018(黒塀のまちなみ保存活用協議会主催)の企画として岡地区自治会のご協力も得ておこなわれ、会場は61名の参加者を得て熱気に包まれました。
「岡村民の歴史と柏倉家」と題して、岡村文書のなかの人別宗旨改帳・施行帳などの解読・分析によりあきらかになった江戸時代中期から明治初年の岡村の村人の人口や身分・職業の変化、飢饉の際の岡村による施行(村による困窮者への米銭の無償提供)についてゼミ生と教員が報告をしました。とくに、天保の大飢饉の際には柏倉家一類をはじめ有志の家々が村へ施行米を提供し、村役人が村人の困窮状況を一軒一軒調べ、全戸数の約半数の家・約3分の1の村人に対しておよそ100日間継続して施行をおこなったことをあきらかにしました。発表後は活発な質問・議論がおこなわれ、参加者からは、村の絆にもとづく社会救済事業により多くの村人の命が救われたという歴史経験が同地区にはあったことを知り感動した、岡地区にますます愛着をもてる、などの感想が寄せられました。会場では町の有志が作成したパネルにより岡地区の生活文化に関する聞き取りの成果や古写真の展示もおこなわれ、古老を中心に参加者の話しの輪があちこちに広がりました。
2017年度に同ゼミでは町の有志による岡地区の生活文化の聞き取りに参加したり、岡地区の旧家の個別の歴史につきご家族に報告する小さな会を開催したりもしました。
2017年4月に柏倉九左衛門家・柏倉惣右衛門家が中山町に寄贈され、中山町柏倉家住宅保存・利活用検討会議で今後の保存活用と公開準備の検討が進められています。そのなかで山形県の「未来に伝える山形の宝」に登録された岡地区の柏倉家を中核とした黒塀の豪農屋敷群からなる町並みの保存整備による地域活性化も話し合われつつあります。同ゼミと町の有志による柏倉家と岡地区の歴史調査や聞き取り、研究発表の活動はこうした取り組みに連携し協力していくものです。