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TAKAKURA Shinki
コース:総合法律コース
メールアドレス:takakura@
ホームページ:
オフィスアワー:シラバスを参照してください。
専門領域:刑事訴訟法
大学院担当:社会システム専攻 刑事訴訟法
山形大学研究者情報:http://yudb.kj.yamagata-u.ac.jp/html/222_ja.html
※メールアドレスの@以降は「human.kj.yamagata-u.ac.jp」になります。
― : 先生が研究していらっしゃる刑事訴訟法とはどんな学問でしょうか?
高 倉: 私が研究している刑事訴訟法とは、刑事手続に関する法律です。刑事手続とは、刑罰を実現するための手続です。
たとえば、警察などの捜査機関は、犯罪が発生したと思料すると捜査を開始し、犯人の発見・確保や証拠の収集・保全をします。刑事事件は警察から検察官に送られる仕組みになっていますが、検察官は、その事件について被疑者を起訴するか不起訴にするかを決めます。検察官がその事件について裁判所に起訴しますと、その事件は裁判所に係属し、裁判所で審判がなされますが、裁判所は、検察官と被告人・弁護人との主張を聴いた上で、被告人が有罪であるか無罪であるかを判断し、有罪ならばどれぐらいの刑罰が妥当かを判断します。
刑事手続はこのようなプロセスですが、ただ、この中にはさまざまな利害関係がからんできます。その最たるものは、真実を発見し刑罰を実現する利益と被疑者・被告人の憲法上の人権との衝突でしょう。ここにさらに被害者参加制度が導入されるわけですから、利害関係はさらに複雑になるでしょう。
刑事訴訟法は、このような利害関係をどのように調整していくかを考える学問です。刑罰はただ実現すればよいというものではなく、適正な手続を経て実現しなければなりません。
― : 来年から裁判員制度が始まりますよね。
高 倉: そうです。殺人罪などの重大な刑事事件において、裁判官3人と裁判員6人が協働して、被告人が有罪であるか無罪であるかの事実認定をした上、有罪であるならば、どれぐらいの刑罰が妥当なのかを判断します。一般国民に刑事手続に参加してもらい、国民の健全な社会常識を裁判内容に反映させようとしています。
素人の方々にふだんの仕事を休んで参加してもらうわけですから、刑事手続を従来よりも迅速に分かりやすく進めることが求められており、わが国の刑事手続は大きな変革の中にあります。
― : 先生は主に刑事訴訟法の何について研究していらっしゃるのでしょうか?
高 倉: 二重の危険の法理について研究しています。
二重の危険の法理とは、何人も同一の事件について再度有罪の危険に置かれないという法理であり、憲法39条を根拠としています。この法理は、国家訴追権限の濫用から一個人である被告人を保護するために考え出されたものです。ただ、この法理でいう「同一の事件」とは何か、「有罪の危険」とは何かが問題になりますが、これらのことを日々研究しています。
― : 先生はなぜ刑事訴訟法を研究するようになったのでしょうか?
高 倉: 大学3年生のときに憲法のゼミに入っていましたが、憲法のある教科書を読んでいたら、憲法21条の表現の自由などについては多くの頁がさかれていたのに、被疑者・被告人の刑事手続上の人権を定めた憲法31条から40条については、それほど頁がさかれていなかったのです。そこでこれらのことをもっと勉強しないといけないと思い、大学4年生のときに刑事訴訟法のゼミに入りました。以来、刑事訴訟法を研究させていただいています。
― : 最後に高校生にメッセージをお願いします。
高 倉: 新聞やテレビなどで社会の動きをチェックしましょう。刑事事件に関するマスコミの報道を簡単に鵜呑みにせず、一歩さがって冷静に考えてみてください。日本の刑事手続が必ずしも常に正確な事実認定をして真犯人に妥当な刑罰を科しているわけではありません。刑事被告人には「無罪の推定」が及んでいます。
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