ŌKUBO Kiyoaki
コース:人間文化コース
メールアドレス:okubo@
ホームページ:
オフィスアワー:シラバスを参照してください。
専門領域:映画研究、表象文化論
大学院担当:文化システム専攻 表象文化理論特論 表象文化理論特別演習
山形大学研究者情報:http://yudb.kj.yamagata-u.ac.jp/html/100000496_ja.html
※メールアドレスの@以降は「human.kj.yamagata-u.ac.jp」になります。
― : 先生の専門領域を教えてください。
大久保: 映画を研究しています。とりわけ第二次世界大戦前後の日本映画に興味があります。大学院では、成瀬巳喜男という日本の映画監督について研究をしてきました。
― : 具体的にどのような研究なのでしょうか?
大久保: いささか抽象的ですが、映画がいかにして現実をつくっていったか、あるいは映画がいかに物語(=歴史)を語り、かつ歴史(=物語)を作り上げていったかを研究します。それを通し、私たちが抱いている「現実的なるもの」が「映画的なるもの」によって支配されているかを研究します。わたしは映画が誕生する生成のプロセスに興味がありました。映画はただひとつの天才によって創造するものではなく、多かれ少なかれ、さまざまな制度的・文化的状況を「媒介」するものであるからです。ですが同時に、すぐれた映画は、視聴覚媒体として「世界」や「時代」を再現するだけではなく、つねに新しい現実を提示することで世界や時代を刷新してきました。
皆さんのなかには、そもそも映画が学問として成立しうるのかという疑問を持たれる方がいるでしょう。そう思われるとしたら、「映像」があまりにもありふれたものになってしまっているのかも知れません。ですが、もしあなたが映像と現実の境界を引けないとしたら、映像があなたを蝕んでしまっているのでしょう。もしかしたら映像が氾濫する今日、もしかしたらここで学ぶことは「映像に溺れない」ようになることなのかも知れません。
― : この研究に興味を持ったきっかけは何でしょうか?
大久保: 『妻よ薔薇のやうに』という日本映画が、アメリカで公開されたことをその映画の解説を読んで知りました。最初は「そうか、これはアメリカでも公開されたのか」と思っていましたが、あるとき、ふと「まてよ、この映画はどうしてアメリカで公開されたのか?どうしてそんなことが可能だったのか?」という疑問が浮かびました。素朴な問いでしたが、その答えはどこにも載っていませんでした。そこから多くの資料に当たり調べた結果が最初の論文になりました。素朴な問いによって、自明であった出来事に思いも知らなかった姿が浮び上がってくることに興奮をしました。
― : 最後に高校生に一言メッセージをお願いします。
大久保: 自分の生まれる以前に作られた映画を見てみて下さい。そして、目の前に広がる世界を追いかけながら、そこにあなたは「いない」はずなのに、あなたがそれを、<今ここ>で見ていることに改めて驚いて下さい。<今>という時代がすべてではなく、<ここ>という世界がすべてではないということを知るとともに、あなたがこの世界と時代を<今ここ>で生きることを問い直してください。
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