研究テーマ
- (1)フランス公法学研究(公的自由としての「教育の自由」およびライシテについて)、(2)日本における教育権・教育の自由の研究、(3)犯罪リスクと個人のセキュリティに関する国際比較研究(米英仏等)。
論文
- Floyd訴訟後のニューヨーク市におけるポリシング改革,レイシャル・プロファイリングー警察による人種差別を問う, ,2023年11月
共著
- パンデミック下のニューヨーク市におけるポリシング改革―ブラック・ライブズ・マターの高揚と銃器犯罪の上昇―,山形大学紀要(社会科学) ,53(1) 35-52,2022年07月
共著
- フランスにおける学校のライシテとイスラーム,憲法研究,(9) 85-101,2021年11月
単著
- 教育裁判のなかの校則裁判―頭髪黒染め強要国賠訴訟・大阪地裁判決の検討を中心に―,季刊教育法,(210) 88-96,2021年09月
単著
- ニューヨーク市の最近のポリシング改革―Floyd訴訟連邦地裁判決後の取り組み―,山形大学紀要(社会科学),51(1) 19-36,2020年07月
共著
- 教育の無償制の諸論点,日本教育法学会年報,(48) 62-71,2019年03月
単著
- レイシャル・プロファイリングと憲法,浦田一郎先生古稀記念・憲法の思想と発展、信山社, ,2017年08月
単著
- 選挙権・被選挙権年齢、飲酒・喫煙年齢ーフランス法を中心に,比較法研究,(78) ,2017年01月
単著
- ニューヨーク市の停止・身体捜検政策の検討ーFloyd v. City of New York(2013)を中心に,山形大学紀要(社会科学),47(1) ,2016年07月
共著
- 教育における国家の役割と時間軸,公法研究,(74) ,2012年10月
単著
- ロンドン暴動の研究,山形大学紀要(社会科学),43(1) ,2012年07月
共著
- 教育人権論の展開と教育法学の役割,日本教育法学会年報,(40) ,2011年03月
単著
- フランスにおける〈セキュリティ〉政策―立法のインフレ化と「自由」の危機?-,一橋法学,9(3) 3-17,2010年11月
単著
- 教育目標法定の意義,日本教育法学会年報,(38) 116-125,2009年03月
単著
- 学校教育法の改正と教育目標法定の意義,季刊教育法,(157) 10-15,2008年06月
単著
- 「憲法教育論」と憲法教育-最近の憲法学説の批判的検討,民主主義教育21,2 17-24,2008年05月
単著
- ニューヨーク市における犯罪の減少と秩序維持ポリシング,山形大学紀要(社会科学),38(2) 37-58,2008年02月
共著
- 国家と公教育の再定義ーフランスの共和主義的学校法制の現況を中心に,子ども中心の教育法理論に向けて、敬文堂, ,2006年11月
単著
- フランスにおける暴動――都市暴力・若者・セキュリティ,山形大学法政論叢,(36) 57-77,2006年03月
共著
- アメリカにおける犯罪のリスクと個人のセキュリティ,山形大学法政論叢,(31) 47-66,2004年08月
共著
- フランス公教育法制の歴史的展開とその現代的変容―憲法学の視点から,フランス教育学会紀要,(15) 45-54,2003年09月
単著
- 犯罪のリスクと個人のセキュリティ―イギリスとフランスを中心に,山形大学法政論叢,(28) 69-88,2003年08月
共著
- 教育権と教育基本法改正問題,日本教育法学会年報,(32) 40-49,2003年03月
単著
- リスク社会における個人のセキュリティに関する研究・序説,仙台白百合女子大学紀要,(7) 91-98,2003年01月
共著
- 教育人権保障と教育統治(ガバナンス)論,講座現代教育法3:自治・分権と教育法、三省堂, ,2001年06月
単著
- P・ローザンヴァロンの福祉国家論,山形大学法政論叢19号 , ,2000年09月
単著
- フランス公教育制度の史的形成における自由と国家(7・完),山形大学法政論叢13号 , ,1998年09月
単著
- フランス公教育制度の史的形成における自由と国家(6),山形大学法政論叢12号 , ,1998年05月
単著
- フランス公教育制度の史的形成における自由と国家(5),山形大学法政論叢11号 , ,1997年12月
単著
- フランス公教育制度の史的形成における自由と国家(4),山形大学法政論叢第9号 , ,1997年04月
単著
- フランス公教育制度の史的形成における自由と国家(3),山形大学法政論叢8号, ,1997年01月
単著
- フランス公教育制度の史的形成における自由と国家(2),山形大学紀要(社会科学)第27巻1号, ,1996年07月
単著
- フランス公教育制度の史的形成における自由と国家(1),山形大学紀要(社会科学)26(2), ,1996年01月
単著
- 憲法保障と教育,一橋研究,19(1), ,1994年05月
単著
- フランス第3共和制における共和主義教育の確立と国民統合,一橋論叢,112(1), ,1994年01月
単著
著書
- コンメンタール教育基本法,学陽書房,2021年10月
- 憲法判例百選Ⅱ(第7版),有斐閣,2019年11月
- 現代憲法入門,法律文化社,2019年05月
- 歴史から読み解く日本国憲法(第2版),法律文化社,2017年04月
- 基本判例1・憲法(第4版),法学書院,2014年05月
- 歴史から読み解く日本国憲法,法律文化社,2013年07月
- フランスの憲法判例Ⅱ,信山社,2013年03月
- 新基本法コンメンタール憲法,日本評論社,2011年10月
- 基本判例1・憲法(第3版),法学書院,2009年10月
- 新版 体系憲法事典,青林書院,2008年07月
- 教育における自由と国家,信山社出版,2006年07月
- 基本法コンメンタール憲法(第5版),日本評論社,2006年04月
- 教育基本法改正批判(法律時報増刊),日本評論社,2004年04月
- 基本判例1・憲法(第2版),法学書院,2004年04月
- フランスの憲法判例,信山社出版,2002年09月
- 教育法規新事典,北樹出版,1999年11月
- 日本国憲法史年表,勁草書房,1998年02月
学外での活動(高大・地域連携等)
相談に応じられる分野
インタビュー
― : 先生のご専門は憲法学・教育法学ということですが、どんな研究をされているのですか?
今 野: 私が研究しているのは特に憲法26条の「教育を受ける権利」です。子どもの学習権を保障するため、国は教育の条件を整えなければなりません。しかし現在、子どもたちの教育は、塾など民間に委ねられる部分が増えています。
― : そうすると、どんな問題点があるのでしょうか?
今 野: 貧しい家庭の子どもたちの教育がおろそかになり、チャンスが公平に与えられないことになります。教育予算を増やし就学援助を手厚くするなどして、教育の機会均等を確保すべきです。要するに、国は条件整備で手抜きをしてはならない、ということです。しかし他方で、国が介入を強めている部分もあります。
― : どのようなことでしょうか?
今 野: 学校の授業内容は、学習指導要領という文書で決められています。昔は先生の手引書だったのに、今では先生が従わないといけない国の基準だと言われている。先生の教える自由が少なくなっているわけです。でも、学校制度を整備したり教育のために十分なお金を支出したりすることこそが国の仕事なのであって、子どもに教える具体的な内容にまで国が踏み込んではいけないと思うのです。
― : 最近はどういう問題がありますか?
今 野: 2006年に安倍内閣の下で教育基本法が改正されましたが、愛国心の教え込みなど、憲法に反する内容を含んでいるのではないかと議論になっています。
― : 先生は日本の教育法学を議論するのにフランスを参考にしてらっしゃいますが、日本と比べてフランスのどういうところを比較の対象とされていますか?
今 野: フランスにも学習指導要領はありますが、教科書検定はありませんし、教師はかなり自由に教育ができるのですよ。政治のために教育を使う試みはフランスでもナポレオンの時代など何度もありましたが、基本的に、フランス革命以来、教育における自由の伝統が現在まで受け継がれてきている点に、興味をひかれます。
― : 先生が憲法学、特に教育法学を研究することになったきっかけはなんですか?
今 野: 大学時代のゼミの先生がこの問題を取り上げていて、大学院に入ってから、フランスの憲法や教育法の歴史や制度を研究することが、これからの日本にとって必要だと思うようになったのです。
― : 憲法学の面白さとはなんですか?
今 野: ただ法律の字面だけを見ても面白くないと思うんです。常に社会は動いており、様々な問題が絶えず生じています。憲法や教育法に関わる問題を取り上げて考察を加え、ダイナミックに現実と格闘することに意義を感じます。現代社会をどうしたいか考えることこそ、憲法学の醍醐味です。ちなみに、憲法は市民の行動を制限するものではなく、国家の権力を制限するものなのですよ。
― : 最後に高校生に向けて一言お願いします。
今 野: 時間を見つけて本を読むことをお勧めします。大学で法律を学ぼうと思い定めている人でも、法律に限らず歴史、文学、哲学、自然科学など、できるだけ幅広い分野の本を読み、教養を身につけることが大切です。それが基礎となり、自分で考える力が育ちますし、専門的な勉強をするとき、きっと役立つはずです。