NISHIOKA Masaki
コース:総合法律コース
メールアドレス:24oka@
ホームページ:
オフィスアワー:シラバスを参照してください。
専門領域:刑法学
大学院担当:社会システム専攻 刑法
山形大学研究者情報:http://yudb.kj.yamagata-u.ac.jp/html/100000348_ja.html
※メールアドレスの@以降は「human.kj.yamagata-u.ac.jp」になります。
― : 先生の専門領域を教えてください
西 岡: 専門領域は(狭義の)刑法学です。刑法は犯罪と刑罰を規定する法ですが、(狭義の)刑法学は、個々の犯罪と刑罰に共通する事柄を考察対象とする刑法総論と、個々の犯罪と刑罰に固有の事柄を考察対象とする刑法各論に大きく分けられます。さらに、刑法総論は、犯罪の一般的な成立要件を主たる研究対象とする犯罪論と、個別の刑罰の内実や正当化根拠および刑の適用等を研究対象とする刑罰論に分類されます。私は、その中で、犯罪論における責任論と刑罰論を現在の研究テーマとしています。
― : 具体的にどのような研究なのでしょうか?
西 岡: 犯罪が成立するためには、刑法上違法な行為をした人を個人的に非難することができなければなりません。例えば、3歳の子どもが万引きをしても、その子どもに対して窃盗罪の成立を認めることはできません。また、重度の精神障害によって物事の善し悪しを判断することができなかったり、その判断に従って行動することができない人が同様の行為をした場合にも、その人に対して犯罪の成立を認めることはできません。これらの人々には刑法上の責任能力が欠けているとされるのです。しかし、たとえ、このような責任能力が備わっていたとしても、行為の際に行為者に適法な行為をすることを期待できない場合には、やはりその人を個人的に非難することはできません。刑法学においては、この「非難可能性」が「責任」の実体とされています。ところで、刑法学においては、「責任なければ刑罰なし」と表現される責任主義(または責任原理)と呼ばれる近代刑法の基本原則が存在します。したがって、過度の刑罰賦科を回避するためにも、「責任」の内実を明確にしておくことが特に必要となります。しかし、近年の国内外の刑法学においては、刑法上の責任の内容を、違法な行為をなした個別の行為者に対する非難可能性としてではなく、社会にとっての刑罰賦科の必要性、つまり、行為者を処罰することが犯罪予防目的に資するか否かの観点から再構成しようとする見解も唱えられており、このような潮流には危惧感を抱いています。このような潮流に抗して、責任主義を担保するために責任概念を如何に把握すべきかについて研究しています。また、「責任概念を如何に把握するか」という問題は、「刑罰の本質ないし目的を何処に求めるか」という問題と密接な関連を有していることから、「国家が刑罰を賦科することがどのような理由から正当とされるのか」を巡る議論についても研究しています。
― : 刑法学に興味を持ったきっかけは?またこの研究の面白さとは?
西 岡: もともと刑法学に興味を持ったきっかけは、学部時代に刑法の講義を受講した際に、難解な用語が頻出し学説の対立も激しく厄介だなと思いつつも、その点に学問的な魅力を感じたことです。そこでより深く刑法学全体について知りたいと思い勉強していく中で現在の研究テーマに辿り着きました。私が研究テーマに選んだ責任論や刑罰論は、「ある人を法的に非難することができるということは、その人が違法な行為以外の適法な行為をなすことができた、ということを前提にしているが、そもそも人間にある特定の行為をなすという意思の自由は存在するのか」とか、「そもそも国家が犯罪者に対して刑罰を賦科することは如何なる根拠をもって正当化されるのか」といった哲学的な問題をも含み得るものであり、その点に面白さを感じています。
― : 最後に高校生に一言お願いします。
西 岡: 高校生のみなさんは、いま実社会で生起する様々な事象に対して問題意識を持って接していますか。世間において一般的に是とされている事柄に対しても、それを無批判的に鵜呑みにせずに、果たしてそれは本当に是とされるべき事柄なのかと常に疑問を抱きながら、自分の頭で批判的に考える習慣を身に付けてください。
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