UTSU Mariko
コース:グローバル・スタディーズコース
メールアドレス:mariutsu@
ホームページ:
オフィスアワー:シラバスを参照してください。
専門領域:アメリカ文学
大学院担当:
山形大学研究者情報:http://yudb.kj.yamagata-u.ac.jp/html/200000122_ja.html
※メールアドレスの@以降は「human.kj.yamagata-u.ac.jp」になります。
― : 先生の専門領域を教えてください。
宇 津: アメリカ文学を研究しています。文学作品というのは文化の産物でもあり、また逆に文化を作り出す媒体でもあると考えています。歴史や時代の変化の中に文学作品を位置づけて、その時流の中で、ある文学作品がどういった意味を持ちうるのか、どういった働きをしたのかを考えています。
― : 具体的にどのような研究なのでしょうか?
宇 津: 具体的には、現在は19世紀末の女性作家ケイト・ショパンを研究しています。1899年に書いた『目覚め』という作品が有名ですが、この作品は上位中産階級の妻に家庭を捨てさせる物語なので、当時は激しくバッシングされました。ショパンには病気もあり、6年後には死んでしまって、その後半世紀ほどは世間から忘れられた作家になっていました。
このような経緯から、「世間から排除された孤高の作家」というようなイメージがついてしまっていますが、それを時代の中に戻して考えようとしているのが私の研究です。
― : この研究に興味を持ったきっかけは何でしょうか?
宇 津: きっかけはアメリカ人研究者Bucherが書いた1本の論文でした。19世紀末は1920年の女性参政権の達成に向けて確かに女性運動も盛んだったのですが、これまでのショパン研究はここにばかり目を向けていたような気がします。Bucherはここにレズビアンという視点を導入しました。確かに、19世紀末は性科学という学問がアメリカに入っていって、同性愛というものに人々の目を向けていった時代でもあります。そういった流れに対しショパンはどう反応したのかということは、考えてみる価値のあることだと思います。
また、彼女は南北戦争後の南部作家でもあるので、黒人を描いた作品も多いのですが、差別的南部と解放的北部といった典型的な枠組から離れることで、この点についても新しく見えてくるものがあるのではないかと思っています。
― : 最後に高校生に一言メッセージをお願いします。
宇 津: 今になって驚くことが多いのですが、高校生、大学生の頃の感性というのは本当に鋭いと思います。小説を読むということひとつとっても、中年を迎えた今では、いつまでも忘れられない大きな感動を得るということは珍しくなってしまいました。他方、学生の頃に読んだ本というのは、いつまでもその感動が続くし、ある場面や言葉が何度も記憶の底から蘇ってくることもあります。年齢によってこんなにも読みの引き起こすものが違うのかと実感するとともに、若い頃にもっともっとたくさん読んでおくべきだったと後悔しています。
学生のみなさんには、本に限らず、映画でもスポーツでも何でも良いのですが、自分の感性に積極的に栄養を与えるということを意識してもらいたいと思います。
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