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NAKAMURA Takashi
コース:グローバル・スタディーズコース
メールアドレス:nakka@
ホームページ:
オフィスアワー:シラバスを参照してください。
専門領域:英文学
大学院担当:文化システム専攻 イギリス近現代文化論
山形大学研究者情報:http://yudb.kj.yamagata-u.ac.jp/html/535_ja.html
※メールアドレスの@以降は「human.kj.yamagata-u.ac.jp」になります。
― : 先生のご専門は英文学ですが、具体的にどんなことを研究していらっしゃるのでしょうか?
中 村: 私は主に19世紀の作家ディケンズを中心として、イギリス19世紀の小説について研究しています。ディケンズを研究するそもそものきっかけは、大学3年生の春休みに原書でディケンズの「オリバー・ツイスト」を宿題で読むように言われたことです。この時は、原書と、辞書と、日本語訳を交互に読みました。オリバー・ツイストという孤児が悪党フェイギンにスリになるように仕込まれる話ですが、彼は盗みを拒否し、最後には幸せになる話です。二十歳くらいの年齢で、教養部時代は何の勉強もしていませんでしたから、大量の英語を原書で読むのには難儀しました。ま、今読んでも難しいですけどね。
― : 何年も研究していらっしゃる先生でも「オリバー・ツイスト」は難しいのでしょうか?
中 村: 19世紀に書かれた昔の本ということもあるのですが、「オリバー・ツイスト」は労働者階級が使うコックニーという独特の言葉で書かれており、スラングが多く辞書に載っていない言葉が多く使われており、一つ一つの言葉を正確に理解するのは大変困難です。
― : ずい分挿絵が多い本ですね。「オリバー・ツイスト」は子供が主人公ですが、子供向けの本だったのでしょうか?
中 村: 基本的には大人向けの作品ですが、当時は月間分載になっており、親が子供に読み聞かせをしていたようです。私も「オリバー・ツイスト」の挿絵は大好きです。
― : 先生はなぜディケンズを研究するようになったのでしょうか?
中 村: 学部時代、「チャタレイ夫人の恋人」で有名なロレンスの「息子と恋人」という小説が大変好きで、大学院に入るとき、ロレンスとディケンズとどちらを研究するか迷い、イギリス人の先生に相談したところ、ディケンズは先行研究がたくさんあり、先行研究も研究しなければならないので大変だからロレンスを研究しなさいといわれました。ところが院で研究しているうちにロレンスがだんだんと嫌いになっていきました。そこで大学院を卒業し、ある大学に就職したときに、ロレンスはやめてディケンズを研究することにしたのです。
― : スラングや古語など普通の辞書に載っていない言葉を調べるときはどうするのでしょうか?
中 村: オックスフォード英語辞典(OED)という世界最大の英語辞典で調べます。この辞典は現在はCD-ROM版もあり、パソコンで簡単に調べることができますが、私が学生のころはそんなものはなく、巨大な本の集積でした。全20巻もあり、値段も高く、貧乏学生には手が届かない辞典でした。今から、30年近い昔でも、確か、40万円くらいしたはずです。そこでそれが買えない学生は1冊の本に細かい文字で20巻分が載っている「縮刷版」を買うのです。こっちは比べると、かなり安くて4万数千円でした。しかし、文字は本当に細かく虫眼鏡でないと見えません。だから本のおまけで大きな虫眼鏡がついてきます。
― : その国の階級ごとのスラングや文化なども知らないと読めませんから外国文学を研究するのは大変ですね。
最後に高校生に一言お願いします。
中 村: 本をたくさん読んでください。そして、大好きな作家や本を見つけてください。私は高校時代、安岡章太郎や松本清張などが好きで、彼らの本を片っ端から読んでいました。また文芸春秋に掲載される芥川賞の当選作を読むのも楽しみでした。今は本を読むことを仕事にしてしまったため、本を読むことは単純な趣味とはいえなくなり、いまひとつ、純粋に楽しめない気もしています。ですから、自由に好きな本を好きなだけ読める高校生の方が少しだけうらやましいです。
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