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中村 隆

NAKAMURA Takashi

コース:グローバル・スタディーズコース
メールアドレス:nakka@
ホームページ:
オフィスアワー:シラバスを参照してください。
専門領域:英文学
大学院担当:文化システム専攻 イギリス近現代文化論
山形大学研究者情報:http://yudb.kj.yamagata-u.ac.jp/html/535_ja.html

※メールアドレスの@以降は「human.kj.yamagata-u.ac.jp」になります。

研究テーマ

  • (1)英国小説の研究。特に、時事的な政治や経済の問題との関連で、イギリス19世紀の小説における歴史的・文化史的な側面を考察する。例えば、人口問題、公衆衛生改革の議論、スラムと貧民、犯罪事件と大衆ジャーナリズム、等々、19世紀の小説を理解するための重要な文脈を辿ることにより、小説の背景に広がる歴史と文化の再現をめざす。(2)探偵小説の研究。英国19世紀は、犯罪の世紀ともいわれ、探偵小説というジャンルが確立した時代でもある。「性愛」と「犯罪」と「(探偵)小説」の相互の関連を、物語の起源と構造というパラダイムの中で考察する。

論文

  • 『オリヴァー・トゥイスト』におけるホガース的瞬間,山形大学人文学部研究年報,14 ,2017年02月
    単著
  • ディケンズ・メイヒュー・児童労働,東北ロマン主義研究,1 ,2014年12月
    単著
  • メデューサの肖像:公開朗読のナンシーとセンセーション・ノヴェルのヒロインたち,『英文学研究』,81 ,2005年01月
    単著
  • Ghost and Money in Great Expectations,Shiron『試論』,41 ,2003年07月
    単著
  • Tropes and Satire in Humphry Clinker,『山形大学紀要』(人文科学),第14巻第4号,, ,2001年02月
    共著
  • Bleak House and Brown's Work,Shiron,39 ,2000年08月
    単著
  • Bleak House and Brown's Work: A Gaze upon the Poor,『試論』第39集, ,2000年08月
    共著
  • 『大いなる遺産』の黒人問題,『山形大学紀要』(人文科学)第14巻第3号, ,2000年02月
    共著
  • 『荒涼館』における隠喩としての伝染病,ディケンズ・フェロウシップ日本支部会報, ,1999年11月
    共著
  • Implied Slaves in The Origin of Species,『山形大学紀要』(人文科学)第14巻第2号, ,1999年01月
    共著
  • 「植民地の異人-『大いなる遺産』と『種の起源』を中心に-」,科学研究費助成金(基盤研究B-1)研究結果報告書, ,1998年03月
    共著
  • 『種の起源』と植民地の奴隷,『山形大学史学論集』,18 ,1998年02月
    単著
  • ディケンズとマルサス:『冷酷な時代』における統計学批判,山形大学紀要(人文科学),14(1) ,1998年01月
    単著
  • 『バーナビー・ラッジ』にみられる笑いについて,山形大学紀要(人文科学),13(2) ,1995年01月
    単著
  • 『骨董屋』におけるカーニバル風の主題,山口大学「英語と英文学」,25 ,1990年09月
    単著
  • ロレンス・伝統・影響不安,山口大学「英語と英文学」,24 ,1989年09月
    単著
  • 虹の結末,『試論』,28 ,1989年07月
    単著

著書

  • ホガースの時代 版画で読むイギリス,山形大学出版会,2023年03月
  • 科学研究費補助金 基盤研究(C)(2019年度〜2022年度) 中間報告書:ホガースの時代,私家本,2022年03月
  • ディケンズ文学における暴力とその変奏:生誕200年記念,南雲堂,2012年10月
  • 科学研究費補助金 基盤研究(C)(2006年度-2007年度)研究成果報告書:センセーション・ノヴェルの再評価 ― メアリー・ブラッドンとウッド夫人の小説,私家本,2008年03月
  • ディケンズ鑑賞大事典,南雲堂,2007年05月
  • 科学研究費補助金 基盤研究(C)(2003年度〜2004年度)研究成果報告書:「幽霊小説」と「探偵小説」を中心とするヴィクトリア朝大衆文学の系譜学的研究,私家本,2005年03月

学外での活動(高大・地域連携等)

  • 出張講義(山形県立天童高校),2017年05月
  • 出張講義(福島県立橘高校),2014年10月
  • 出張講義(宮城県立石巻高校),2011年10月
  • 出張講義(秋田県立本荘高校),2008年06月
  • 放送大学 公開講座,2005年02月

相談に応じられる分野

  • 英文学・イギリス文化

インタビュー

 ― : 先生のご専門は英文学ですが、具体的にどんなことを研究していらっしゃるのでしょうか?
中 村: 私は主に19世紀の作家ディケンズを中心として、イギリス19世紀の小説について研究しています。ディケンズを研究するそもそものきっかけは、大学3年生の春休みに原書でディケンズの「オリバー・ツイスト」を宿題で読むように言われたことです。この時は、原書と、辞書と、日本語訳を交互に読みました。オリバー・ツイストという孤児が悪党フェイギンにスリになるように仕込まれる話ですが、彼は盗みを拒否し、最後には幸せになる話です。二十歳くらいの年齢で、教養部時代は何の勉強もしていませんでしたから、大量の英語を原書で読むのには難儀しました。ま、今読んでも難しいですけどね。

 ― : 何年も研究していらっしゃる先生でも「オリバー・ツイスト」は難しいのでしょうか?
中 村: 19世紀に書かれた昔の本ということもあるのですが、「オリバー・ツイスト」は労働者階級が使うコックニーという独特の言葉で書かれており、スラングが多く辞書に載っていない言葉が多く使われており、一つ一つの言葉を正確に理解するのは大変困難です。

 ― : ずい分挿絵が多い本ですね。「オリバー・ツイスト」は子供が主人公ですが、子供向けの本だったのでしょうか?
中 村: 基本的には大人向けの作品ですが、当時は月間分載になっており、親が子供に読み聞かせをしていたようです。私も「オリバー・ツイスト」の挿絵は大好きです。

 ― : 先生はなぜディケンズを研究するようになったのでしょうか?
中 村: 学部時代、「チャタレイ夫人の恋人」で有名なロレンスの「息子と恋人」という小説が大変好きで、大学院に入るとき、ロレンスとディケンズとどちらを研究するか迷い、イギリス人の先生に相談したところ、ディケンズは先行研究がたくさんあり、先行研究も研究しなければならないので大変だからロレンスを研究しなさいといわれました。ところが院で研究しているうちにロレンスがだんだんと嫌いになっていきました。そこで大学院を卒業し、ある大学に就職したときに、ロレンスはやめてディケンズを研究することにしたのです。

 ― : スラングや古語など普通の辞書に載っていない言葉を調べるときはどうするのでしょうか?
中 村: オックスフォード英語辞典(OED)という世界最大の英語辞典で調べます。この辞典は現在はCD-ROM版もあり、パソコンで簡単に調べることができますが、私が学生のころはそんなものはなく、巨大な本の集積でした。全20巻もあり、値段も高く、貧乏学生には手が届かない辞典でした。今から、30年近い昔でも、確か、40万円くらいしたはずです。そこでそれが買えない学生は1冊の本に細かい文字で20巻分が載っている「縮刷版」を買うのです。こっちは比べると、かなり安くて4万数千円でした。しかし、文字は本当に細かく虫眼鏡でないと見えません。だから本のおまけで大きな虫眼鏡がついてきます。

 ― : その国の階級ごとのスラングや文化なども知らないと読めませんから外国文学を研究するのは大変ですね。
最後に高校生に一言お願いします。
中 村: 本をたくさん読んでください。そして、大好きな作家や本を見つけてください。私は高校時代、安岡章太郎や松本清張などが好きで、彼らの本を片っ端から読んでいました。また文芸春秋に掲載される芥川賞の当選作を読むのも楽しみでした。今は本を読むことを仕事にしてしまったため、本を読むことは単純な趣味とはいえなくなり、いまひとつ、純粋に楽しめない気もしています。ですから、自由に好きな本を好きなだけ読める高校生の方が少しだけうらやましいです。

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